2021年、「主役交代」始まりのありがたき

2021.10.29

Profile

代表取締役社長 磯部 昌美

1990年スキー場のリフト券発券システム「券作くん」を開発し導入。1991年に株式会社グッドフェローズを創業。

突出した技術革新

Amazon社といえばEコマースの覇者ですが、実はAWS(アマゾン ウェブ サービス)もクラウドサービス界で世界一の規模です。GF社でもサービス開始の初期より利用させて貰っていますが、その価格改定の頻繁さと価格破壊の強烈さには何度となく驚かされたものです。Amazonのサービス料金競争を超えて行くものはAmazonだけと他を圧倒し、瞬く間に市場を占拠しました。自社のサービス体系を自社の破壊的イノベーションで更新していくので、他は追随出来ないレベルに突出して行きました。

自社主力製品の主役交代

GF(GoodFellows)も自社主力製品の主役交代が始まっていると考えています。
30年間GFの主力商品は窓口発券POSシステム「券作くん」でしたが、今期より「マル券くん」に主役交代が進みそうです。
開発着手より現金精算、クレジット、QR精算に加えて、電子マネー精算の検定に合格し、ペイメント種別を充足させる事ができました。2020年9月から「マル券くん」の本格販売を開始しましたが、キャッシュレス機を含めて1年間で50台以上のシステムをご採用頂く事が出来ました。

コロナ禍で、投資が控えられた1年であるにも関わらず、想定以上の台数を出荷できて、この流れは更に加速すると考えています。
自動券売機は、GF創業以来ずっと扱っては来ましたが、あくまでもシステムパーツとしての位置付けでした。自動券売機はハードと動作するソフトウェア、どちらもひとつの専業メーカーが作るもので、それを入退場システムに組み込むには、券売機と通信して、マスターデータを更新したり販売実績データを引き上げて帳表に表示する等の事で精一杯でした。

しかし、数年前より、券売機メーカーが、ソフトウェアメーカーに自由にアプリケーションソフトウェアが開発できるように、ハードとミドルウェア、金銭処理機のOCX等を開放してくれたお陰で、高性能な自動券売機筐体を入手する事が可能になりました。
これは、日本の各POSメーカーが、POSソフトウェアに対する専門的な高機能要求が高まってサードパーティにソフトウェア開発環境を開放した流れと同じ流れですが、10年以上遅れて実現されました。

自動券売機の進化

GFでは、長年チケッティング業務に関するナレッジを蓄積して来ましたが、その技術ノウハウを自動券売機に移植して、オペレーター無しの高機能無人発券を実現しました。

かつて券売機は、決まったチケットを単純に現金精算で販売できるだけでしたが、今は窓口チケット販売で実現できている大抵の業務が実現できるように進化しています。
時間帯によって販売可能なチケットを自在に変えて、在庫管理の必要な時間指定チケットを販売できたり、精算方法のペイメント種別も現金、クレジット、QRペイ、電子マネーと窓口対応と同様になり、次バージョンでは、個券クーポン券対応として、割引券の一回のみ対応が実現します。
バーコードやQRコードの印字されたクーポン券を読み取らせる事で、1回の取引又は1枚の取引でのみ割引きやクーポン券発行元との後精算が可能になるというものです。
窓口業務では、係員がクーポン券そのものを引き取るので、使い回し防止の必要性はありませんでしたが、自動券売機ではクーポン券の引き取りが難しいので、個別コードの消し込みが必須になります。

施設が発行する会員カードで特別価格や、指定のチケットが購入できる機能も実装予定となっています。これまで長年掛けてバージョンアップして来た「券作くん」に装備されている機能の大半が実装され、ゲストはセルフで特別価格のチケットが購入できるようになるという事です。

これにより、これまで窓口数分のチケット販売係のスタッフが必要だったものが、窓口を大幅に減らして、自動券売機に交替させる事が可能になります。人件費の大幅削減に繋がるのはもちろん、コロナが終息すれば必ず再来する採用困難問題の解決にも繋がります。
GFでは、多数のチケット施設に多数の窓口発券機を導入させて頂いていますが、その半数以上がWeb販売に移行して不要になり、残る券作くんも、その半分が「券作くん」から「マル券くん」に交代して行くのではないかと予想しています。

そうなると、チケット販売は、事前のWeb販売と自動券売機の「マル券くん」のみになって、「券作くん」の活躍の場は、消滅するのかと言えば、そうでは有りません。
施設に最低1台の「券作くん」は残ります。それは、販売チケットのマスター登録は、窓口機も自動券売機も、WebketによるWebチケットストアでのチケット販売も、全て券作くんマスター機で設定し、実績集計、帳表出力する為、「券作くん」が完全引退する事はありません。
窓口で活躍していた「券作くんサブ機」は「Webket」や「マル券くん」と主役交代して席を譲りますが、「券作くんマスター機」は更に重要なポジションで活躍し続ける事になっています。

さらなる進化へ

そうは言っても、「券作くんマスター機」もいつまでも安泰ではありません。
現在開発を進めているエンタープライズシステムでは、チケット世界流通視点での新システムを設計しています。それは、データベースはクラウド上に配置し、複数のチケット施設(マルチテナント)の複数の店舗、複数のPOSや自動券売機、セルフ機、ゲート等のデバイスをワンデータベースで管理する構想となっています。GFが先頭となって創り上げてきたオンプレミスの入退場システムの世界感をGF自身でスクラップアンドビルドして行く構想です。

一部パーツの開発は進めていますが、大変困難な挑戦の為、全体像をお目に掛けるまでには、まだ暫く開発期間を要する事になりますが、必ずやGFエンジニアのイマジネーションとモノ作りに賭ける情熱で完成すると信じています。

30年ぶりの主役交代とは滅多にないありがたい事と報告させて頂きました。

高機能マルチペイメント自動券売機の「マル券くん」に今後もご期待下さい。

製品について

マル券くん
マルチペイメント自動券売機
キャッシュレス決済対応のタッチパネル式券売機です。「券作くん」とデータ連動しているので、チケットの登録や販売実績の集計が楽に行えます。
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