創立30周年の「ありがたき」

2021.03.24

Profile

代表取締役社長 磯部 昌美

1990年スキー場のリフト券発券システム「券作くん」を開発し導入。1991年に株式会社グッドフェローズを創業。

グッドフェローズ社の設立は、1991年(平成3年3月)ですから、今年は創立30周年となりました。
お陰様で、数人で始めた会社が今では80人を超える規模になり、継続、成長できています。

国税庁の統計記事によると、会社の寿命は「設立5年で約85%の企業が廃業・倒産し、10年以上存続出来る企業は6.3%、20年続く会社は0.3%、30年続く会社は0.025%」だそうです。
GFが30年継続できた事は、正に「あり難き」事と言えます。

これまでご支援頂いた多数のユーザー施設様、それを支えてくれた社員、役員には心から感謝申し上げます。

グッドフェローズの30年と今後の展望

グッドフェローズの主幹業務は、集客施設様のチケット業務への貢献です。
ここで30年の歴史を振り返り、そしてコロナ禍を挟んでパラダイムが変わる次の10年を展望してみたいと思います。

スタート時、施設運営に携わった経験や確固たるメソッドはありませんでした。
ですから起業からこれまでずっと、一心に現場の声を聞き、観察し、市場ニーズを確かめながら、商品・サービス開発を進めてきました。

プロダクトのパッケージ化

起業時からパッケージメーカーとして受託・請負の仕事はしないと決めていましたので、テーマを絞って専門性を高め続けてきました。
ソフトウェアは、業務を劇的に改善する力を持っています。
それを汎用的にしてパッケージ化すれば、開発者1人分の力で、使用者の100人、1000人分の仕事をも省力化出来るという夢のような理念で事業に取り組んできました。

当時は少人数のベンチャー企業であった為、社長主導の短い決定プロセスで新商品・新サービスの開発を進め、ソフトウェアは常に進化すべきという考えのもと、機能・使い勝手強化のためのバージョンアップに投資してきました。

バージョンアップについて

施設様の声に耳を傾け、3つ以上の施設様からのご要望は汎用的要望として、きめ細かい機能追加と改修を行ってきました。

チケット施設市場に集中し、現場のご要望には全てお答えしたいという思いでシステムを開発してきた結果、現場業務全般をカバーするパッケージをラインナップに加える事ができました。

施設の規模によって必要とされる機能も異なってきます。
ラインナップ化されたパッケージを自在に組み合わせる事で、規模、ニーズの大小に関わらず、最適なシステム構成で施設のIT化を実現する事を目指しました。

経験の積み重ね

汎用的なパッケージからは少し離れてしまいましたが、関西圏最大規模のテーマパークで、オンラインシステムに加えてバッチシステムを開発しました。
運用専任者が常駐して本格的な会計連携、BIデータ分析連携を実装、巨大施設のチケッティング業務全般をカバーするという経験を通じて、チケッティングERPという概念に近付くことができました。

この経験を生かし、さらに大きなテーマパークの業務システム導入プロジェクトにゼロから取り組み、業務フロー作成、要件定義、基本・詳細設計、実装開発を行うという稀有な経験も積む事ができました。

大型パークのシステムはパッケージシステムとは異なり、常に機能追加や改修の要求があります。
それでも、大型パークの動向は他の施設の目標や模範とされる為、要求を精査しパッケージに組み込む事で、事業的にはプラス、マイナスありますがバランスはとれています。

プロダクトの進化

主力製品である『券作くん』の初代 Ver1.0は、MS-DOS上で開発されました。 MS-DOSは、キーボードでPC操作を行うユーザーインターフェース(CUI)です。まだマウスのない時代でした。

マウスで操作できるGUIベースのWindows3.1がリリースされWindowsの世界が本格化していくと、券作くんもDOS版からWindowsNT版に移行していきました。
DOS版券作くんは、バーコードメニューやキーボードで商品と数量を指定し、伝票の表示と精算を入力する事が精一杯のシステムでした。
WindowsNT版への移行によって画面は拡大し表示情報も増えましたが、その基本構造は変わらず、タッチパネルの普及によって初めてユーザーインターフェースが一新される事になりました。

画面の進化

タッチパネルの普及により、商品の選択や預り金の入力、精算まで画面へのタッチで行えるようになり、キーボードの出番が無くなってきました。
しかし、当初はSVGA(800×600ピクセル)という小さい画面だった為、商品の選択と精算で画面を変える構成にならざるを得ませんでした。

その後、ブラウン管型を経て液晶画面の大型化が急速に進み、17インチ画面の普及が見えて、ようやく商品の選択から精算まで1画面で行えるようになりました。
このように、30年間『券作くん』は、窓口でのチケット発券業務をITで支援するという目的は変わらずとも、PCの進化と共に、幾多の改善、改良を繰り返してきました。
また画面のみならず、市場、施設様のニーズへの対応として、機能追加や使い勝手向上を目指し毎年パージョンアップを行っています。

DBツール(データベースツール)の進化

チケット業務にかかわるシステムの核となるデータベースも、進化しています。
グッドフェローズも、その進化に伴い、性能と目的に合わせてDBツールを採用してきました。
当初はMS-DOSマシンでネットワーク接続する、NOVEL社のNetware組込みDBのBtrieveでしたが、MS Jet、その後MySQLへ、そしてPostgreSQLやMS SQL、Oracleへ。

チケッティングPOSシステム『券作くん』を核に、パッケージのラインナップも進化、拡充しています。
物販飲食向けの『Pro-POS』、統合売上管理システム『RE・SO・NET』、団体予約システム『YOYAQueen』、会員管理システム『PointClub』、ゲート・券売機・入退場管理 『WEB de Monitor』、サイネージ管理 『インフォモニター』。
『券作くん』の管理機能を使い、Webチケットストア『Webket&チケットHUB』、マルチペイメント自動券売機『マル券くん』も稼働しています。

しかし、コロナになって・・・、

チケット施設様へ来場されるゲスト様の行動様式が、予約来場、事前チケット購入へと変化してきています。 これまで、チケット施設様の現場業務を支援する視点で開発を進めてきましたが、チケット流通の視点も必要であるという、パラダイムの変化を感じています。
チケット流通は、施設様、チケット販売チャネル、ゲスト様全てにメリットがあると考えています。

また、開発を進めてきた、『券作くん』を前提としないチケットの発券・着券アプリケーションを、PaaSketとして主に小規模施設様向けに普及させて行く事が決まりました。
併せて、共通券精算組合の仕組みを開発、非常に高い需要が予想されています。
共通券により、施設様独自の単体プロモーションではなく、複数の施設様による面的プロモーションが可能になります。
チケット流通視点からの、システムの再構築が必要と考えています。

地上から見回すより、空から地上を見下ろした方が全体最適な社会システムが組み立て易いという事は自明の理です。
この考えに基づき、次なるチケット流通のシステムとして、エンタープライズシステムを模索してきました。
クラウド上に出来る限りの資源を配置し、施設様には必要なハードウェアと、それを制御する最低限のアプリケーションソフトのみを置くという考え方です。

もちろん実現は、簡単な事ではありません。
クラウド及びネットワークの安定性、ウィルスやネット攻撃への対処等解決すべき課題は多数ありますが、チケットの世界流通が当たり前になった今、これまでの延長のみでは限界が見えています。

エンタープライズシステム

『Webket&チケットHUB』、『PaaSket』での実現が目近にある、小規模施設様へのチケッティングシステム普及の波を考えると、エンタープライズシステムの出番はすぐそこに来ています。
チケット流通の起点はチケット施設ですが、ゲストにチケットを届ける仕組みは様々で、販売チャネルの存在意義は更に高まって来ると予想されます。
ゲストは身近な媒体に触れ、発見し、AIDA(Attention、Interesting、Disire、Action)と言われる行動パターンによって、チケット施設へ来訪します。
施設様単体のプロモーションと、様々な販売チャネルを利用するコストを比較しても、この構造は廃れないと考えられます。

よって、2021年のGFの最大課題は、エンタープライズシステムの開発であると考えています。
これまで主にオンプレミス(施設様内運用)システムを提供させていただいてきましたが、次代はエンタープライズシステムでICTマーケティングパートナーとして、チケット施設様のDX支援を継続していきたいと考えています。

繰り返しになりますが、これまで30年会社を続けてこれた事に「ありがたき幸せ」を思い、皆様に感謝申し上げます。

そして、次の10年で、まだ誰も目にした事のない「ありがたき」エンタープライズシステムの開発・完成・普及を目指して行きたいと思います。