
寺薗さん(システム開発部 第一開発課 課長)
万博プロジェクトにて財務連携システム開発を担当
2011年にエンジニア未経験者として入社。入社後に都内の電波塔の展望台入場システム開発に携わった後、物販・会計・売上管理システムを中心に大小様々な開発プロジェクトを担当し、現在は課長として第一開発課を率いています。

神之門さん(システム開発部 第二開発課)
万博プロジェクトにて当日予約端末のシステム開発を担当
2018年度にキャリア入社。Webアプリ開発の担当として、大型集客施設のリプレイスに着手。その後同施設のプロジェクトマネージャーを担当。現在は「マル券くん」のバックエンド開発およびプロジェクト開発リーダーを務めています。
2025年大阪・関西万博。世界中から注目を集めるこの大規模イベントの「入場システム」開発に、私たちグッドフェローズは挑戦しました。
ぴあ株式会社、株式会社JTBコミュニケーションデザイン(JCD)、そして株式会社グッドフェローズの3社による共同事業体(JV)として、大阪・関西万博の「入場券販売関連サービス」のプロポーザルに参加し採択されたのは2022年3月のこと。それから約3年間、システム開発部のリソースを結集しこのプロジェクトを進めてきました。
今回は、この3年間を駆け抜けた開発メンバーの中から、当社のキーパーソン2人にインタビュー。開発秘話を通じて、グッドフェローズで働くことの「おもしろさ」や「やりがい」を深掘りしていきます。
グッドフェローズが万博で手掛けたシステム開発とは?

グッドフェローズがJVの一社として大阪・関西万博で手掛けたのは、具体的に以下のシステムです。
●チケットHUB: チケット流通プラットフォームで万博のチケット購入データを管理
●当日予約端末: パビリオン/イベント当日登録センター及び5つの案内所に設置された、来場者が会場でパビリオンプログラム・イベントプログラムを予約するための専用端末
●着券端末: ハンディゲート、物理ゲートなど、お客様がゲートでチケットを読み込ませて入場チェックを行う端末群
●Web de Monitor: 時間帯ごとの入退場者数や滞留者数を確認する場内モニター
●パビリオンチェックイン端末アプリ
●団体予約受付システム
開発~テスト~運用フェーズまで多岐に渡る仕事に従事
寺薗さんは万博プロジェクトで、チケットの売上情報を財務会計システムへ自動送信する「財務連携システム」の構築を担いました。開発フェーズ終了後は、JV全体のシステムを使用したテストを担当します。
最後の運用フェーズではパビリオン・イベントのマスタ登録を担い、3年余りのリソースのほとんどを万博の開発に投じ、グッドフェローズにとっての大きな挑戦に貢献しました。
乗り越えた困難と開発のプロセス
プロジェクトはいくつかのフェーズに分けて開発が進められました。
▶開発フェーズ
財務連携システムの開発では、販売するチケットの種類や運用が確定しない段階から、それらを想定した内容で要件確認と設計を行う必要がありました。
途中で大きな変更が入ったものの、2023年11月の入場券販売開始を無事に迎えることができました。
財務連携システムの開発は経理部門が相手方となり、会計監査も意識する必要があるため、専門的な知識や説明が求められるのが難しい点でした。
▶テストフェーズ
個人向け販売サイト、旅行会社向けサイト、クラウドサービス側のチケット管理、入場ゲートなど、提供するサービス全体を組み合わせて運用を想定したシナリオを作成し、販売から予約、来場までの動作に問題がないか、JV側の最終テストの立案実行を担いました。
JVのぴあ社が担当するシステムの仕組みも理解する必要があり、会社間での設計・設定の確認や、チーム間の認識齟齬や考慮不足に起因する障害の解決に苦労しました。
▶運用フェーズ
パビリオンやイベントの予約情報のマスタ登録で大変なのは、協会のパビリオン・イベント担当者とのスケジュール調整だけではありません。複数回用意された各予約枠のタイミングに合わせて、パビリオンプログラム・イベントプログラムの膨大なデータ量のマスタ登録が必要です。
そのため効率よく登録する仕組みを構築することで、万博のスムーズな運用実現につなげました。
寺薗さんのやりがいとは
「協会やJV各社、他社の開発メンバーなど、社外の多様な考え方や意見に触れる機会が多く、その中でプロジェクトを進行していく経験は刺激的でした」と、プロジェクトに携わった感想を述べました。
自分が携わったシステムを一般来場者として体験することも楽しみだそうです。
当日予約端末のシステム開発とUI/UXデザイン

神之門さんが担当したのは、来場者が会場で当日予約を行うための予約端末の開発でした。
この端末の当初の目的は、スマートフォンを持たない方や操作が苦手な方向けのパビリオンプログラム・イベントプログラムの予約機でした。グッドフェローズの自動券売機「マル券くん」をベースに、万博向けに特別に構築したものです。
「開幕後に『スマホでなかなか予約が取れない場合の裏技』としてSNSを賑わせたこともありましたが、開発側としては想定外の使い方で驚いています」と神之門さん。
神之門さんはBtoBtoCの難しさについて、「博覧会協会の要件定義書をもとに、基本設計、詳細設計、実際の開発、そして単体テスト、結合テスト、負荷テストといった各フェーズを経てプロジェクトを進めていきました。開発に設計書の確定を行うのですが、博覧会協会との調整には約2か月を要しました。また協会側の要件を満たすだけでなく、開幕後の来場者や万博のスタッフからの要望にも対応していく難しさがありました」と話します。
その上で神之門さんは、国際的な大規模イベントにシステムエンジニアとして関われたことに大きな誇りを感じる、と語りました。
「シンプルさ」と「直感的な操作」を追求したUI/UX
神之門さんから依頼を受け、当日予約端末のUI/UXデザインを担当したインハウスデザイナーの岡本さんはこう言います。
「万博専用のデザインとして心がけたのは、『シンプルさ』でした。いろいろな国の方が来場するので、国を問わず画面を見れば誰でも、予約まで操作することができるUI/UXを心がけました」
当初はスマートフォンの普及から利用者は少ないと想定していた開発チーム。実際には多くの来場者が利用し、SNSやYouTubeでも操作方法が話題になりました。
グッドフェローズはなぜ自社開発にこだわるのか?

グッドフェローズが自社開発にこだわるのは、開発における自由度が高く、会社で働くエンジニア一人ひとりの考えを価値として捉える企業カルチャーがあるからです。
また、間に元請け会社を挟まないため、セールスエンジニアが受け取るお客様の要望や、カスタマーエンジニアによる導入後のフィードバックを直接、パッケージシステムのバージョンアップに活かすことができるのも強みです。(記事掲載後、一部加筆・修正を行いました。)